五十歳をすぎたというのに……という誹りを背中に受けながら、日本からトルコまでバスに揺られた。極東からヨーロッパまで陸路を伝う旅はこれで五回目になる。今回に限らず、僕は長いバスの旅を何回か経験してしまっているが、その経験でいうと乗りはじめがきつい。体が狭いバスの座席にフィットするまでが大変なのだ。そんなときは決まって暗い車窓の向こうにバスの虫が見える。大阪から博多に向かラパスで僕はこの虫を見た。それからは惰性なのだが、今回はインドという難関が待っていた。
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体はすでにバス体質になっていたが、積もり積もった睡眠不足のなかで、「ちよっとやばい」と自問していた。窓の向こうにはやはりバスの虫が牧っていた。そこに山かおるから……のたとえではないが、僕らは次のバス、次のバスと乗り継いでしまった。しかし切符を買う係である僕は、いつもバスターミナルで逡巡していた。休むべきかもしれないという思いと、まだ先は遠いという焦りのなかで迷っていた。しかし結局は、目の前にあるバスに乗ってしまった。昔のアジアはそれでよかったのだ。いくらバスターミナルで焦っても、次のバスはなかなかやってこなかった。ようやく乗ることができても、バスは頻繁に故障した。その間に休むことができたのだ。